成蹊大学のチームがSKマテリアル吾野フィールドで砕石自動運搬システムの公開実証実験を実施しました。
私たちCAFEプロジェクトは、ムーンショット目標3「自ら学習・行動し人と共生するAIロボット」というグループにおいて
「多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AIロボット」の研究開発を進めています。
CAFEプロジェクトは、Collaborative AI Field robot Everywhereからきています。
2024年より新体制に移行し、これまで開発してきた技術のシステムインテグレーションを目指します。
2050年における自然災害現場での
応急復旧イメージ
私たちが住む日本では、さまざまな自然災害が各地で頻発しています。そこに暮す人々の生活を守り、災害の被害を最小限に抑えるため、応急復旧の更なる技術開発が望まれています。そこで、本プロジェクトでは、災害現場に代表される難環境において、想定と異なる状況に対して臨機応変に対応し、作業を行うことが可能な「協働AIロボット」の研究開発を行います。2050年には、この「協働AIロボット」が、人の替わりに自然災害の応急復旧を実現すると共に、この技術が、地上のインフラ構築や維持管理にも役立ちます。
左のイラストは、2050年における自然災害現場での応急復旧イメージを表しています。複数台のフィールドロボットが、センシングデータを元に災害の状況を正確に評価した後、ロボット協働作業を実施することで、想定外の状況に対応しながら災害の応急復旧に取り組みます。本プロジェクトでは、2025年までのマイルストーンとして、自然災害(特に河道閉塞災害)の減災を目的とした、想定と異なる状況に対して臨機応変に対応する複数台協働AIロボットのシステムのプロトタイプを開発します。
本研究開発プロジェクトの大目標は、「協働AIロボットシステムによる多様な環境に適応したインフラ構築の実現」です。この大目標を実現するため、「1.土工を革新するAIロボットシステム」(ハードウエア)、「2.複数台ロボットの動的協働システム」(複数台ロボットを制御するAI)、「3.現場を俯瞰するセンサポッドシステム」(センシング技術と環境を評価するAI)という3つの研究開発項目を設定し、並行して研究開発を進めてきました。
2024年以降は、右図に示すとおり、自然災害(特に河道閉塞災害)に対応可能なロボットシステムに焦点を絞り、技術革新を進めると共に、これらの技術のシステムインテグレーションを目指します。
皆さま、こんにちは。永谷圭司と申します。内閣府のムーンショット型研究開発事業 目標3における「多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AIロボット」のプロジェクトマネージャーを担当しています。
本プロジェクトは「自然災害に対する応急復旧」を可能とするフィールドロボットの実現を目指しております。このためには、ロボット自らが、状況に応じて臨機応変に対処する能力が必要となります。そこで、本プロジェクトでは、様々なアプローチにより、これらの実現を目指していきます。
プロジェクトの紹介については「プロジェクト概要」に譲り、ここでは、本プロジェクトで私が最も大切にしております三つのことをお伝えしたいと思います。
まず、一つ目はプロジェクトの基本理念についてです。本プロジェクトの基本理念は、「人の役に立つ技術を創造すること」です。これは私がこれまでに大切にしてきたフィールドロボット研究に対する基本理念と同じものです。 「(自分の得意な)○○という技術を実現しました。後は、△△ができれば、これは役に立ちます。」という言い訳は決してせず、実用化までを見据えた技術開発を行う方針が、ここには込められています。
大切にしております二つ目は、研究者・技術者の横の繋がりです。本プロジェクトは、多分野間の協力が不可欠で「土木」「機械」「AI」のどれが欠けても成立しません。そのため、それぞれの分野の研究者が、お互いの分野を尊重しつつ密に情報交換を行い、横の連携を強固にした研究開発を進めたいと考えています。
最後の三つ目は、現場主義です。本プロジェクトでは、ロボットが活動できるような現場を人工的に設定して実証するのではなく、実現場での活動が可能なロボットの開発を心がけたいと考えています。
本プロジェクトの推進メンバーには、現在、各々の研究分野で活躍している大変パワフルな研究者たち・技術者たちが揃いました。とても嬉しく思っております。ぜひ、本プロジェクトの今後の成果をご期待ください。
プロジェクトマネージャー/東京大学 大学院 工学系研究科 特任教授
永谷圭司
1984年 大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了。現在は、大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻教授、創造工学センター長、 コマツみらい建機協働研究所所長、ロボティクス、制御工学の研究に従事。工学博士。
大須賀 公一
大阪大学大学院工学系研究科 教授
1993年 筑波大学大学院修士課程修了,2010年 Bielefeld大学,博士(工学).現在はヤンマーホールディングスにて,農業,土木建設,海洋におけるフィールドロボティクスの研究開発に従事.
杉浦 恒
ヤンマーホールディングス株式会社技術本部中央研究所システム研究センター ロボティクスグループ グループリーダー
立命館大学非常勤講師、
名城大学非常勤講師
1990年横浜国立大学博士課程修了.株式会社東芝,(財)マイクロマシンセンター,岡山大学を経て2014年より現職.株式会社s-muscle,株式会社H-MUSCLEの代表取締役,および新学術領域「ソフトロボット学」領域代表.
鈴森 康一
東京工業大学 教授
1991年九州大学修士課程修了 。博士(工学)。 2013年より現職.岩盤工学,地圏環境工学をベースに地理空間情報の利活用,防災に関する研究に従事.
三谷 泰浩
九州大学大学院 工学研究院 附属アジア防災研究センター 教授
2010年 Wayne State UniversityでPh.D.の学位授与.現在は,東京大学
i-Constructionシステム学寄付講座にて,AI,IoT技術を活用したインフラ建設,維持管理や,プラットフォーム技術の発展に取り組んでいる.
全 邦釘
東京大学大学院 特任准教授
2013年より東北大学大学院情報科学研究科教授.2016年から理化学研究所革新知能統合研究センター兼務.専門はコンピュータビジョンと深層学習.
岡谷 貴之
理化学研究所 チームリーダー
1983年東海大学工学部卒.現在は、株式会社熊谷組にて、建設ICT、建設機械自動化および無人化施工技術の開発および研究に従事.
北原 成郎
株式会社熊谷組 土木事業本部 ICT推進室 室長
1985年 岩手大学大学院農学研究科修了 修士(農学).現在は、国際航業株式会社にて,火山噴火時の調査の無人化に向けた技術開発を含む砂防分野の調査・計画・設計等の検討業務に従事している.
島田 徹
国際航業株式会社・公共コンサルタント事業部 事業企画担当部長
1984 年東京大学大学院修士課程修了.工学博士(1989年,東京大学).現在は,東京大学大学院工学系研究科教授および同研究科人工物工学研究センター長.サービスロボティクスの研究・社会実装等に従事.
淺間 一
東京大学大学院工学系研究科 教授
2007年 奈良先端科学技術大学院大学博士後期課程修了.博士(工学).現在は,同大テニュアトラック教員として,ロボットラーニング研究室を主宰.機械学習と実世界ロボット応用に関する研究に従事.
松原 崇充
奈良先端科学技術大学院大学研究推進機構 特任准教授
1986年 東北大学大学院博士課程修了.工学博士.研究分野はテラメカニックス.現在は機械と地盤の相互作用に基づく地盤評価に関する研究に従事.
高橋 弘
東北大学大学院環境科学研究科 教授
1991年 東京工業大学大学院修士課程修了.博士(工学).富士通研究所,東京工業大学,東京大学生産技術研究所を経て,2007年より現職.サービスロボット,認知症ケアの研究に従事.
倉爪 亮
九州大学大学院システム情報科学研究院 教授
博士(工学)(2007年,筑波大学).茨城県工業技術センター,産業技術総合研究所,筑波大学,成蹊大学を経て,現職.ロボット制御技術の社会実装や触覚技術に関する研究に従事.
竹囲 年延
弘前大学理工学部機械科学科 助教
2023/08/18
Journal
Thannarot Kunlamai, Tatsuro Yamane, Masanori Suganuma, Pang-Jo Chun, Takayuki Okatani (2023), “Improving visual question answering for bridge inspection by pre-training with external data of image–text pairs”, Computer-Aided Civil and Infrastructure Engineering., August, 2023. pp. 1-17
2023/07/02
Journal
Yusuke Tamaishi, Kentaro Fukuda, Kazuto Nakashima, Ryuichi Maeda, Kohei Matsumoto, Ryo Kurazume (2023), “Evaluation of ground stiffness using multiple accelerometers on the ground during compaction by vibratory rollers”, Proceedings of the 40th International Symposium on Automation and Robotics in Construction., July, 2023. pp. 262-269
2023/04/10
Journal
Yuki Kadokawa, Lingwei Zhu, Yoshihisa Tsurumine, Takamitsu Matsubara (2022), “Cyclic Policy Distillation: Sample-Efficient Sim-to-Real Reinforcement Learning with Domain Randomization”, Robotics and Autonomous Systems., April, 2023. Vol. 165, pp. 1-30.
2023/04/01
Journal
島田徹, 永谷圭司, 谷島諒丞, 金崎裕之, 皆川淳, 永田直己, 金井啓通, 羽田靖史, 藤井浩光 (2023), “自然災害対策に活用する遠隔調査システムの開発”, 検査技術., April, 2023. Vol. 28(4), pp. 58-63.
2023/03/22
Journal
Hirotaka Tahara, Hikaru Sasaki, Hanbit Oh, Edgar Anarossi, Takamitsu Matsubara (2023), “Disturbance Injection under Partial Automation: Robust Imitation Learning for Long-horizon Tasks”, IEEE Robotics and Automation Letters.,March, 2023. Vol. 8(5), pp. 2724-2731
2023/02/15
Journal
Hidenori Takamiya, Ryosuke Yajima, Jun Younes Louhi Kasahara, Ren Komatsu, Keiji Nagatani, Atsushi Yamashita, Hajime Asama (2023), “Reinforcement Learning-based Motion Generation for a Tracked Robot to Go Over a Sphere-shaped Non-fixed Obstacle”, 2023 IEEE/SICE International Symposium on System Integration (SII),. February, 2023. pp. 1-6.
2023/01/25
Journal
Riku Tada, Yusuke Tsunoda, Teruyo Wada, Koichi Osuka (2023), “Proposal of efficient shepherding controller with adjusting gains according to the navigation phase”, AROB-ISBC-SWARM2023,. January, 2023. pp. 1439-1444.
2023/01/25
Journal
Runze Xiao, Yusuke Tsunoda, Koichi Osuka (2023), “The Exploitation of “Unfavorable” Environmental Effects in a Centipede-type Swarm Robot System for Unknown Environment Navigation and Exploration”, AROB-ISBC-SWARM2023,. January, 2023. pp. 879-882.
2022/11/01
Journal
Kang-Jun Liu, Masanori Suganuma, Takayuki Okatani (2022), “Bridging the Gap from Asymmetry Tricks to Decorrelation Principles in Non-contrastive Self-supervised Learning”, Thirty-sixth Conference on Neural Information Processing Systems., November, 2022. vol. 35, pp. 1-12.
2022/10/06
Journal
Tatsuro Yamane, Pang-jo Chun, Riki Honda (2022), “Detecting and Localising Damage Based on Image Recognition and Structure from Motion, and Reflecting it in a 3D Bridge Model”, Structure and Infrastructure Engineering., October, 2022. pp. 1-13.